症例A

 「症例A」は、本屋でふと手に取った作品だった。サイコサスペンスと言ったら良いのだろうか。読む前は以前見た映画「39-刑法第三十九条-」を連想していた。それは作品の冒頭のフレーズが、映画に出てきたフレーズを連想させたからだ。
 「だけど、ほかの声が話しかけてくることはあります」
 「誰の声がはなしかけてくるの?」
 「ペンギンの声」
 「ペンギン?」
 「そうよ、子供のペンギン」
 「それが話しかけてくるのかい?」
 「私が呼ぶときもある」
 
 たしか映画の中では「かもめ」が出てくるフレーズではなかったか。

 単にサイコサスペンスで終わらずに、ちゃんと精神科の取り巻く環境や描写もすばらしく、引き込まれるストーリーだった。専門家から見ても十分な内容なのではないだろうか。

 もう一度読み直してみようかな。